中学生にもなると、何かを調べその原因を知るという『研究』に興味を持つ人もいると思います。小学生の自由研究の経験を活かしながら、中学生としての知識を踏まえた内容を目指しませんか。日々の暮らしの中にあるものをテーマにした研究をご紹介します。皆さんが毎日のように入るお風呂。そのお風呂には必ず鏡があります。最初はきれいに映る鏡もお湯を出している間に、くもってしまう経験は誰もが経験しているはずです。その鏡のくもりの原因について、自由研究で調べることをおススメします。毎日の何気ない出来事から、学べることは多くあります。自由研究により、今迄知らなかった知識を身に付けて、充実した中学生生活を送りましょう。
■研究の日数はどれくらいか?
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鏡のくもりの原因を調べるために必要な時間、日数については1日あれば十分におこなえます。調べること自体はそれだけで済みますが、要となるレポートの作成についてはそれ以上の労力を使うことが考えられます。ある程度の日数をキープした上で、余裕を持って取り組むことがポイントとなります。中学生の夏休みともなると、遊びはもちろんですが、部活動や塾などの活動が小学校の頃よりも増えていきます。自由研究に取り組むためには、きちんとした計画を立てることが大事になります。計画を立てることも、やがて大人になっていく段階で必要なことです。中学生のうちから身に付けておけば、後々役に立つかと思います。
■用意するものは?
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鏡のくもりを調べるといってもお風呂場でおこなう必要はありません。用意するものは、①鏡、②ボール、③温度計、④ルーペ、⑤ストロー、⑥セロハンテープ、⑦食酢、⑧みりん、⑨台所用洗剤(界面活性剤入りのもの)、⑩植物油、⑪固形石けん、⑫くもり止め剤、⑬ハンドクリーム、⑭液体クレンザー、⑮布、⑯テイッシュペーパー、⑰時計、⑱うちわ、⑲下敷き、⑳ドライヤーとなります。用意するものが多いので、準備する時間も踏まえて取り組むことをおススメいたします。比較的ご家庭に常備されているものと思いますので、家の人にも相談していきましょう。強いていうならばルーペが家には無いかもしれないので、早めにご確認ください。
■どんな手順ですすめる?
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実験①
鏡にできるくもりの状態や、消え方を調べていきます。鏡の右半分に液体クレンザーを数滴落として、布で磨いて水洗いした上で、ティッシュペーパーで拭き取ります。次に、約50℃のお湯の湯気を1分間当てた後、鏡の表面をルーペで見てみます。その後、鏡の半分を下敷きで隠した上で、一方の面にだけうちわで風をあて、くもりの消え方を比べてみます。
実験②
鏡の表面の温度とくもりの関係を調べていきます。鏡の表面の温度を、ア)冷蔵庫内で十分に冷やす(低温)、イ)部屋の中に置く(常温)、ウ)鏡の表面をドライヤーで熱する(高温)。その上で実験①と同じように、約50℃のお湯の湯気を1分間当てた後、鏡の表面をルーペで観察します。
実験③
鏡の表面にいろいろな材料を塗って調べます。セロハンテープであらかじめ鏡の表面を8分割にしておきます。そこから、A水、B食酢、Cみりん、Dくもり止め剤、Eハンドクリーム、F固形石けんを溶かした石けん水、G台所用洗剤、H植物油をティッシュペーパーに含ませ、鏡の表面に塗ります。そこから実験①と同じように、約50℃のお湯の湯気を1分間当てた後、鏡の表面をルーペで観察します。
実験④
表面に塗った材料により水滴の形がどうなるか調べます。きれいにした鏡を水平な場所に置き、ストローを使い3cm程度の高さから、水を1摘落として水滴の状態を観察します。次に、鏡の表面に、A石けん水、B台所用洗剤、Cくもり止め材、D植物油を塗り、実験①と同じように、約50℃のお湯の湯気を1分間当てた後、鏡の表面をルーペで観察します。
■気をつけるポイント、失敗しないポイント、コツ
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鏡を使用していきますので、割れると大変危険です。取り扱いには十分に注意をしてください。また、液体クレンザーで鏡を磨いても、鏡に傷がつくことはありませんが、強くこすり過ぎれば傷がつく場合があるので、磨く際の力加減に気をつけましょう。要所で洗剤を使用していきます。注意事項はしっかりと守り、他の物質や洗剤と混ぜることは絶対にしないでください。失敗しないポイントとして、実験①の場合は表面の汚れがくもりと関係があるか調べていきます。調べるために鏡を購入した場合、あらかじめ手で触るなどして汚しておくことがポイントです。実験③については、各材料を塗りすぎてしまったら、ティッシュペーパーで拭き取りましょう。8箇所にできるだけ均等の量で塗ることにより、同じ条件のもとで観察ができます。
■実際のレポートの実例を紹介
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はじめにタイトルをつけましょう。この自由研究であれば「くもり止めの研究」といったタイトルが適切といえます。次に、なぜこの自由研究をしたいと思ったのか、動機と目的を必ず書いてください。たとえば、お風呂場の鏡がくもることでストレスを感じたので、鏡がくもる原因が何であるかを調べたい、あるいはくもりを防ぐ方法を見つけたい・・・といった具合で大丈夫です。
次に、この実験で使用した物品をすべて記載していきましょう。
そして実験①から実験④までおこなった方法と、結果を書いていきます。方法については、文字だけで説明するには大変かもしれないので、要所でイラストや写真を入れてみるのも良いかもしれません。実験①については、よごれ具合、くもる様子、くもりやすさ、くもりの消えやすさなど、比較した結果を載せることになるので、表をつくった方が見る側もわかりやすいです。同じように実験③についても、8箇所に塗った材料によっての違いを表にすることで、それぞれの違いが見えやすくなります。また、ルーペを使って観察をしたことも、レポートに細かく記載していきましょう。たとえば、実験④の水滴を落とした様子について、ルーペで見た水滴の状態をイラストで書くことができれば、レポートの質も高くなります。使用した材料によって、水滴の状態がどのように分けられるかを着目してください。
それらを踏まえて、まとめと考察に入ります。実験①と実験②では、くもりの正体や性質、くもりのできやすい条件が何かを書くことがポイントとなります。実験③と実験④については、くもりを予防するために何の材質が有効なのかわかるはずなので、それをまとめていきます。また、水滴の形によっても、くもり止めに向いていない材質がわかってきます。そのことについても、しっかりと載せておきましょう。
そして最後に、鏡がくもらないためには何が必要なのか、条件や材料についてしっかり明記ができれば、読んだ人が惹きつけられるレポートになります。
このように中学生の自由研究になると、小学生の頃のような昆虫採集やアサガオの観察とは違い、理科の知識をふんだんに必要としていきます。物の性質の違い、条件によって結果が変わる、といったことは、まさに『研究』といえます。また、観察力やレポートをまとめる文章力についても中学生では試されるものと異なります。一見大変そうな中学生の自由研究ではありますが、すべては未来につながると思って、楽しんで取り組んでいきましょう。